【マフィアシティ】豪傑の風格一覧表を更新しました

【ショート・ショート】中秋の名月さえも商売化?!

今年も中秋の名月がやってきた。

かつては、澄んだ夜空に浮かぶ美しい満月を眺め、心穏やかに団子を食べる日だったものだ。

悲しいかな、現代ではそんな悠長な時間を持つ人は少ない。しかも「月見」の風景すら商業化の波に飲まれている。

目次

月の光、どこまで商売に?

ああ、今年も多くの企業が「中秋の名月商戦」に参入し、見事に月の光さえもビジネスに利用し始めた。

月見団子やススキを売るのはもはや過去の話。今や「月の光」を商品にした新たな戦略が登場しているのである。

「月光ビジネス」の誕生

ある有名な飲料メーカーは、満月の光を特殊なフィルターで集め、その「エネルギー」を瓶詰めにしたという触れ込みで「ムーンウォーター」を販売し始めた。

ラベルには「満月のパワーが凝縮された特別な水で、あなたの願い成就が期待できます」というキャッチコピーが踊る。そして、発売初日にして、SNSでの「奇跡の体験」が話題となり、早くも売り切れ続出となった。

「ずーっと片想いしていたのに、これを飲んだ翌日に告白したらOKがもらえました!」
「私はこれを飲んだ直後に宝くじを買ってみたら、これが見事に当たりました!」

という投稿がバズり、多くの人々が「月の光」を求めて列を作った。もちろん、科学的な裏付けはないが、そんなことは誰も気にしていない。

月光エステと月光浴ツアー

さらに驚くべきことに、「月光エステ」が登場した。

その中でも特に高級スパでは、月の光を浴びながら特製のクリームで施術を受けるという「月光フェイシャル」が人気を博している。予約は数か月待ちで、なんと1回の施術が10万円を超えるという。スパのオーナーはかのように話す。

「月の光には、古来から美肌効果があるとされています。当スパでは、月のエネルギーを最大限に活用したケアを提供しています。決して高くないと思いますよ」

また、旅行業界も黙ってはいない。

国内外の旅行会社は、「中秋の名月特別月光浴ツアー」を企画し、全国の名所で月を楽しむための特別プランを提供中だ。

「特別仕様の月見ゴーグルを使用し、月の光をより鮮明に楽しむことができる」とのことで、料金は5泊6日で50万円から。これに参加した人々は、満足そうに「月をより近くに感じられました」と感想を述べていた。

月面不動産の販売開始

ここにきて「月商売」の極致とも言える事態が起こった。

ある企業が「月面不動産」を正式に販売開始したのだ!

特定の区域を区画割りし、希望者は月面に自分の土地を持つことができる。もちろん、実際にはその土地に住むことはまだできないが、購入者には「月面所有者証明書」が発行され、SNSでその証書を自慢する人々が後を絶たない。

「ついに私も月に家を持つことができました!」と喜びの声を上げるのは、ある投資家だ。

彼は月面に1ヘクタールの土地を購入し、「未来の資産になるかもしれない」と期待を寄せている。月面の土地が現実の資産として認められる日が来るのかどうかは不明だが、販売開始からわずか数日で完売となったという。

「月光消費」社会の行方は?

このように、月に関わるビジネスは日々拡大し、もはや「月を見る」行為は特別な体験として売買される対象となってしまった。かつて静かに月を愛で、自然の神秘に心を寄せるという風流な楽しみ方はどこへ行ったのだろうか。

専門家の間では、これらの「月光消費」は単なる一時的なブームではなく、今後さらに拡大していく可能性が高いと予測されている。

「人々は常に新しい形での体験を求めている。そして、月という普遍的な存在を利用することで、どんな商売も成功するのです」と、マーケティングの専門家は語る。

中秋の名月がただの季節の風物詩から、巨大な商業イベントに変貌する日が近づいているのかもしれない。

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