【マフィアシティ】豪傑の風格一覧表を更新しました

【ショート・ショート】異次元のエリート俳優

今回は、試しにPC版も段落ごとの塊にし、適宜改行無しで書いてみています。今回よりこの形に変更予定です。

あの俳優が、何もかも完璧に見える。仕事では冷静沈着、私生活でもスマート、そして何より、その独特なオーラ。見ている者を惹きつけて離さない。その俳優が出演するドラマは必ずヒットし、視聴率は高騰する。しかし、誰もが知っているようで、実は誰も知らないことがある。彼らは普通の俳優ではない。いや、普通の人間ですらないのだ。

目次

エリート役俳優たちの秘密

桜井陽一は、どこにでもいるエリート役俳優だった。成功の秘訣は、その端正な顔立ちと、誰にも真似できないエリートの雰囲気。しかし、彼にはある秘密があった。実は、桜井はある日、異次元から召喚された存在だったのだ。

桜井はその日、特異な夢を見て目を覚ました。夢の中で、自分がいる世界とはまったく異なる空間に引きずり込まれていた。周囲には何もない。ただ、彼の前に異形の者たちが立ちはだかり、こう告げたのだ。「君は今から、この世界で最高のエリート役を演じることになる」

目が覚めたとき、桜井は自分が異次元から召喚され、この世に降り立った存在であることを知った。しかし、そのことを誰かに話すことはできなかった。なぜなら、それが彼の存在の条件だったからだ。

彼の演技が普通の俳優とは一線を画している理由は、彼自身が持つ「異次元のオーラ」によるものだった。このオーラは、人間の脳波に直接作用し、視聴者を圧倒的な魅力で包み込む力を持っていた。桜井はその力を自在に操り、どんな役でも完璧に演じることができた。

だが、この力には代償があった。桜井は日々の生活で、少しずつ人間らしさを失っていくのを感じていた。彼の心は徐々に冷たくなり、感情の起伏が少なくなっていった。仕事は完璧にこなせるが、プライベートでは何をしても喜びを感じられなくなっていたのだ。

ある日、桜井はもう一度あの夢を見る。今度は、夢の中で彼にこう告げられる。「お前はこの世界に長く居すぎた。そろそろ元の次元に戻るべきだ」桜井は恐怖した。元の次元に戻るということは、エリート役俳優としてのキャリアが終わることを意味する。しかし、異次元の力は絶対的だった。桜井には選択の余地はなかった。

その日から、桜井は次第に姿を消していった。彼の出演するドラマは減り、次第に誰も彼のことを話題にしなくなった。最初は多忙だと思われていたが、次第に「桜井陽一」という名前そのものが、人々の記憶から薄れていったのだ。

そして、ある日、桜井は完全に姿を消した。彼が異次元に戻ったのか、それとも別の場所で新たな人生を歩んでいるのかは誰も知らない。ただ一つ確かなのは、彼がかつて存在していたことすら、人々の記憶から消え去ったということだった。

その後、桜井に代わる新たなエリート俳優が現れた。彼もまた、異次元からの存在だと言われている。しかし、今や誰もそのことを疑問に思う者はいない。ドラマの世界では、エリート役は絶対的な存在であり、視聴者はその魅力に抗えないのだ。

そして今日も、どこかの異次元で、新たなエリート俳優がこの世界に降り立つ準備をしているに違いない。彼らは我々の目には見えないところで、厳しい訓練を受け、完璧な演技を身に着けている。そして、再びこの世界に降り立ち、視聴者を魅了するのだろう。

桜井陽一という名が消え去っても、エリート俳優たちは次々と現れる。彼らは、我々の想像を超えた存在であり、その力は無限だ。だからこそ、ドラマのエリート役はいつまでも我々の心を捉えて離さないのである。

そして、もし次回テレビでエリート俳優を見かけたなら、少しだけその裏に隠された異次元の物語を想像してみてほしい。もしかすると、あなたの目の前にいるその俳優も、桜井陽一と同じ異次元の存在かもしれないのだから。

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